慶州編 (2004.1.2)

正月休みなので寝正月を決め込もうとしていたのだが、連休3日目にして、床ずれができそうなほどの寝た切りダラダラ生活に我ながらあきれ果て、思いつきで旅行に行くことにした。

いつも夜行列車に乗っているので、今回は朝の出発。しかもセマウルの特室。つーか、正月なので普通室のチケットはどこもほとんど売り切れなわけで、好むと好まざるにかかわらず、どこか行きたければ特室しか選択肢がない。そもそも、この時期に出発の8時間前にチケットを取れるほど甘くはないわな。

さて、今回の行き先は慶州。新羅千年の都と呼ばれる慶州は外国人観光客も多く、韓国を代表する観光地。らしいのだが、正直なところ、オレはそんな大昔の歴史にはまったく興味もなく、これまで慶州に行ったことがなかった。まぁ正月なので行ってみようかと。ガイドブックとかによると、「慶州を見るなら3泊4日は必要」とか書いてある。そこを日帰りで行こうという大胆不敵な計画。だって興味ないんだもん。テキトーに慶州をまわって、釜山で刺身でも食って帰ってこようかという考え。

出発は7時30分のセマウル号。蔚山・浦項行きの列車で、慶州には12時に到着。深く考えずにチケットを取ったけど、慶州まで4時間半もかかるのか。ちょっとうんざり。
前回全州からの帰りに乗った特室は1列+2列の3列シートだったのが、今回は2列+2列の4列シート。寝台車といい、特室といい、同じグレードの車両で差がありすぎるのが韓国鉄道の問題点だな。
サービスの飲み物などを飲んだり、眠ったりしているうちに慶州に到着。

■左:セマウル号は慶州で分割 ■右:慶州駅


駅を出るとタクシーの客引きがうるさい。うまく使えば効率的にスポットをまわれるのだろうけど、いかんせん新羅の歴史にまったく興味がないわけで、いろいろ案内されたところで眠くなるだけ。いつか興味を持ったらじっくり訪れるであろう。それまでタクシーは使わない。
まずは駅前の観光案内所で地図をもらう。慶州に興味はないといいながらも、慶州に行ったら見たいものがひとつだけあった。瞻星台というのがそれ。むかしむかしに星を観測していたというもので、そのスタイルなかなかかっこいいので一度くらいは見ておきたいと思っていた。
地図を見ると幸い、駅から歩いて行ける距離のようだ。うるさいタクシーの客引きを無視し、瞻星台に向かう。途中の道では街中に普通に古墳があったりして、古都らしい趣を感じさせる。20分ほど歩いたところで瞻星台が見えてきた。意外に小さい建物なのでちょっとがっかりした。

■左:街中に普通に古墳 ■右:瞻星台。近づくには280ウォン


外からでも充分に見えるのだが、近づいて見るためには280ウォンを払わないといけないという。たいした額ではないので払って近づくが、5分もあればもう充分だ。
あっけなく見学を終え、近くの石氷庫を通り過ぎ雁鴨池へ。天気も暖いので30分ほどかけてのんびりと散策する。

■左:瞻星台 ■右:石氷庫

■雁鴨池


一通り見てまわったので、来た道を引き返し石氷庫から瞻星台へ。そこから向かいにある大陵苑に行く。園内にいくつもの円墳があるという古墳公園で、日本人の団体客も来ていたので、後でそっとガイドの案内に耳を傾ける。でもやっぱり「○○年に造られた○○王のお墓です」なんて説明を聞いたところで興味はわかない。古墳はどれも外から見るだけで中には入れないが、ひとつだけ、天馬塚というのがあり、そこは中に入ることができる。中に入ったところでガラスケースに入った副葬品とかが見られるだけなんだけど、取りあえず見てみることにする。はい。やっぱり関心ないですわ。

■左:大陵苑 ■右:天馬塚


そんなこんなで12時過ぎに慶州について、2時間ほどで観光終了。次の目的地に移動することにする。慶州観光で3泊4日は必要だというけれど、例えば1泊2日でも、オレには時間を持て余すだけだな。「韓国に行ったら慶州、慶州に行ったら仏国寺を見に行け」と韓国人によく力説されるのだが、いいよ別に見ないでも。いや、もちろん、見に行ってみたら「おぉ!見に来てよかった!」と思うかもしれないけどね。中学高校と歴史の授業中はあくびしてた記憶しかないんだもん。とかなんとか言い訳しつつ、駅に向かおうとしたのだが、その前に時刻表を確認すると、釜山に行く列車は2時間近く待たないといけない。先に時間を調べておけば、また別の史跡を見に行くとか計画の立てようもあるのだが、成り行き任せで移動してるから時間のロスが発生しやすい。しかたないので駅前まで行き、そこから市外バスターミナルまで移動し、釜山までバスで移動することにした。ちなみに、慶州から釜山まではムグンファ号で2時間。でもムグンファ号の本数は少なく、統一号で行くと3時間近くかかる。ところが、バスなら小一時間で、しかも15分おきに出発と利便性が高い。

案内放送のまったくない市内バスに乗ったおかげで見事に乗り過ごしてしまい、タクシーで引き返すという無駄な時間と金を使ってしまった。外国人観光客が多いんだから、市内バスも案内放送ぐらい流すべきだろう。地元の足とはいえ、誰もが地元民のように乗りこなせるものではないんだから。韓国は外国人観光客の誘致を必死に進めている割に、そういう基本的な部分が欠如している。市内バスに乗って移動するような観光客はたいして外貨も落としていかないだろうからほっとこうとでもいうのだろうか。

■左:慶州市外バスターミナル ■右:釜山駅もリニューアル


まぁいい。薄汚れたバスターミナルに入り釜山までのチケットを購入する。バスはすぐに来た。高速道路もすいていて、3時に出発して1時間弱で釜山市内に入った。釜山のバスターミナルは釜山北部の老圃洞にあるのだが、市内に入って最初に停まったのが地下鉄杜実駅。老圃洞駅より2つ南側にあり、釜山駅まで行くには老圃洞まで行くよりここで降りたほうが早いのでさっさと降りて地下鉄に乗り換える。30分ほど揺られて釜山駅に到着。時刻は4時半をまわったところ。きょうはチャガルチ市場で焼酎でも飲みながら刺身でも食べるかと思ったのだが、その前にソウルへ戻るチケットを確保しておきたい。ソウルに着くのは何時になっても構わないので、最悪の場合にはソウルに午前3時半に着く23時発のセマウルでもいいかな、と思いながら窓口に並ぶ。さて、順番がまわってきたので「ソウルまでセマウルで」と告げると、「きょうのソウル行きは全部売り切れました」という非情な答え。おいおい、そりゃないぜ。釜山で1泊するつもりはないんだから。どうにかしてくれ。すると「お一人ですか?17時発の特室に1枚残ってますけど」。うーん、今16時45分なんだよね。これでしかソウルに帰れないのであればしかたあるまい。「んじゃそれで」ということで、チケットを購入して改札口に直行。なにしに釜山まで来たんだかさっぱりわかんない。こんなことなら慶州でもっと史跡巡りをして、そこからソウルに戻ればよかったのではないか。
そんなわけで、チャガルチ市場で刺身で一杯の夢は打ち砕かれ、滞在時間わずか30分で釜山をあとにする。

思い出したのだが、今朝はソウル駅のバーガーキングでハンバーガーを食べて以来、何も食べていない。もともと1人で食事をするのが好きじゃない(というか、韓国では雰囲気的に1人で食事をしにくい)せいもあって、食べることについてはほとんど気にもしてないのだけど、さすがにお腹もすいた。刺身の夢は露と消えたが、幸いにも隣の車両は食堂車なのだ。今では日本でもほとんどお目にかかれない食堂車だが、韓国ではなんとか生き永らえている。思い起こせば14年前。初めて韓国を訪れたとき、釜山から北上するセマウル号に乗り、食堂車でカレーライスを食べた記憶がある。これがオレが初めて韓国で食べた食事だった。そのセマウル号に乗る前の日には、下関に向かう新幹線の食堂車を利用した。サンドイッチと紅茶を頼んでとんでもない額を請求されて面食らったのもいい思い出だ。

そんな懐かしいできごとを思い返しながら食堂車に入る。客は1組2人しかいない。メニューも、食事メニューはハンバーグステーキ、カレーライス、ビビンバくらいしかない。なんかさみしいが、ビビンバとビールを頼む。
それにしても、揺れが激しいのが難だ。カーブにさしかかるとコップが滑り始める。片手で水の入ったコップを押さえながら、ビールでのどをうるおす。うーん、いいねぇ。やっぱ旅にはビールだわ。そこにビビンバ登場。調理室からレンジの「チーン」という音が聞こえてきたことは内緒だ。さぁ食べるか。スプーンを手に取りかき混ぜ始めるが、なにかたりない。なんだ。玉子だ。ビビンバには目玉焼きがはいらなきゃだめだろう。入ってないじゃん! でも味はそこそこだったので許す。こないだ全州で食べたビビンバと同じ値段というのが難点だが、食堂車という特殊な環境を考えれば仕方あるまい。たとえレンジでチンしただけでも。ついでにビールが1本4,000ウォンは高いのではないか。大ビンじゃないぜ、小ビンだぜ。その昔、歌舞伎町の飲み屋で小ビン1本1,000円もふんだくられて肝を冷やした経験があるが、それに比べればまだマシか。雰囲気を味わったということで。はい、歌舞伎町でも雰囲気は味わいましたけど。

■左:食堂車のビビンバ(揺れるのでブレちゃった) ■右:セマウル号


釜山からソウルまでは4時間半の道のり。その昔に乗ったセマウル号は4時間10分で走破した。450kmを4時間以上かかるのだから、新幹線に比べれば笑っちゃうようなスピードだが、それでも韓国最速の列車であり、「韓国の超特急」などと呼ばれていた。気が付けば、今では4時間30分かけて走っているわけで、スピードアップどころか、スピードダウンしているのはどういうことか。停車駅が増えたのがその原因らしい。むかしはソウル、大田、東大邱、釜山の4駅しか停まらなかったのが、今ではほぼ全列車が永登浦に停車(これは新幹線が新横浜に停まるような感覚だろう)するし、水原、天安、亀尾などにも停まるなど、停車駅が増えすぎている。現在でも4時間10分で走破する列車はソウル駅を午前8時に出発するセマウル1号と釜山駅を午前8時に出発するセマウル2号の2本だけ。今年の4月には高速鉄道が開業するとはいえ、韓国を代表する高速列車としてはちょいとお粗末なのではないか。
そんなことを考えているうちに21時28分にソウル駅到着。今回の旅行はほんとに何しに行ったかよくわからなかった。まぁ家で寝たきりで床ずれつくってるよりマシか。今年もこんなテキトーな旅行を続けていきます。

主な出費
ソウル→慶州
39,100ウォン
慶州→釜山
3,600ウォン
釜山→ソウル
43,000ウォン
食費(食堂車)
12,000ウォン
合計
97,700ウォン

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