浦項・大邱編 (2006.1.21)
実に1年ぶりの「遠くへ行きたい」となりました。
この1年間を振り返ると、海外遠征はかなり積極的だったのだけど、国内旅行はさっぱり。昨年5月に転職したのはいいけれど、それまでの会社で最大のメリットだった平日休みがなくなり、無計画な旅行がしにくくなったことや、隔週週休2日なので出かけられる日が減ってしまったというのが出不精に拍車をかける結果となったようで。ついでに、残り2カ所でこの企画が終わるものの、残りの行き先はどちらもそれほど魅力がないというのも腰を重くさせる原因となっていた。とはいえいつまでもほっとくわけにもいかず、眠れる獅子がついに起き上がることになった。
さて今回の行き先は浦項に決めた。あまりイメージのわかないところで、せいぜいポスコ(浦項製鉄)くらいしか思いつかない。
金曜日に仕事を終え、会社から高速バスターミナルに直行する。この企画、鉄道に乗るのがメインで、道中にバスを使うことはあっても、スタートからバスに乗ることはこれまでなかった。あえてバスに乗ったのは、ソウルから浦項に行く直行の列車の本数が少ない上、朝7時40分に乗ると浦項到着が13時近くとなり、時間が無駄になるため。効率良く動くには夜行バスに乗るのが得策と判断した。
午前0時出発。浦項までは5時間の道のり。いちばんグレードの高い「深夜優等」というバス。ネットで予約した時に席も指定できるので、何を血迷ったか運転席と反対側の一番前を取っておいた。あんまりいい席ではない。
バスは2時間ほど走り途中で休憩。その際にいちいち電気をつけアナウンスが入るので、気持ち良く寝ていてもたたき起こされる。トイレのついでに体をほぐし15分後に出発。3時過ぎに車窓から見えた電光掲示板に「浦項まで45分」という表示。まぢ? ホントだと4時前に着く計算になる。5時到着でも早いくらいなのに、4時に着いたら困るよなぁ。
などと思っていたら、本当に4時前に到着してしまった。遅れるよりかはマシだが、1時間の早着はあんまりだ。このあたりは鉄道旅行との大きな違いだなぁ。
■左:高速バスターミナル ■右:高速道路をひた走る
早朝到着のスケジュールを組んでいるのは、虎尾串なるところに行くため。ここは日の出の名所なのだが、市街地からはやや遠いところ。タクシーでの移動を考慮し逆算した上で5時到着のバスを選んだのであるが。
バスターミナル前に停まっていたタクシーを捕まえる。
「虎尾串までどのくらい?」「えっ!? 遠いよ。3万ウォンくらい」「時間は?」「40分くらいかな」「よし、行こう」
日の出の時刻は7時半頃。1時間前から待機することを考えていたが、このままでは5時前に着くことになる。
人のよさそうな年配の運転手は「この時間に行ってもなにもないけどいいの? こっちは長距離のお客さんだからうれしいけどさ」と心配してくれる。聞けば最近も同様の客がいたという。しかも午前2時に。運転手はちょっと遠回りになるが海岸沿いの道路を走れば少しは見るべきものあるだろうと勧めるのでおとなしくそれに従う。猛スピードで直行されても困るだけだし。
道中で運転手はいろいろ説明してくれる。ポスコの敷地は広大で、すみずみまで回ろうとすれば車でも2時間半かかるとか、ポスコができるずっと前は朝鮮戦争の激戦地で、北朝鮮軍がそこまで迫っていたとか。ついでに虎尾串以外の見どころを聞いてみたが、市内にはなにもなく、郊外に有名なお寺がいくつかあるという。ついでにこの付近の名物料理を聞いておいた。クァメギという魚の干物がちょうどシーズンでうまいらしい。虎尾串からの帰りのバスの乗り継ぎ地点となる九竜浦辺りにお店がいっぱいあるというので帰りに寄り道してもよいだろう。
そんなこんなで海沿いの道から山道を通ったりしながら40分。目的地の虎尾串に到着した。料金は3万2500ウォン。距離にして30キロを超える長距離となった。
虎尾串は灯台とその周辺が公園になっており、ここで日の出を待つことになる。ここは島嶼部をのぞくと韓国で最東端に位置するため、韓国でもっとも早く日が昇るというのがセールスポイント。地図を見ると浦項の右側に突き出た部分がある(「遠くへ行きたい」トップページの地図でもちゃんと表現されている)が、そこである。虎尾串という名前の由来は、朝鮮半島を虎に見立てたときにしっぽに当たる部分だからだそうだ。なにをどう見立てるのかよくわからんのだが。
さて、この公園で有名なのは、海から突き出た手のモニュメントで、陸地側にも同じものがおかれている。空はまだ真っ暗だが、公園は街灯がついており明るい。写真など撮りながら過ごしていると、午前5時になると同時に電気が消え真っ暗に。すぐそばに灯台があるので周期的に辺りを照らしてくれるが、真っ暗では何もできない。電気が消えたせいで心なしか寒さも増した気がする。辺りに建物はなく、風をしのげるところはトイレくらいしかない。しばらく辺りをウロウロしていたが、寒さはだんだん激しくなり耐えられそうにない。幸い近くに24時間営業のサウナがあったので、そこに逃げ込むことにする。
入場料7000ウォンなりを支払い、風呂に入るがぬるい。熱めのシャワーを浴びてから体を拭いて上の階のチムジルバン(サウナ)に行くが、あったかいところはすでに先客で埋まっており、辛うじて風邪を引かない程度にオンドルが入ってる大広間でごろりと横になる。ここで寝てしまうと日の出の後に目が覚めてしまう恐れがあるので、寝ないように体を動かしたりしつつ6時まで過ごす。その後もう一度風呂に入ると今度はちょうどいい温度。海水を使ったお風呂ということで、なるほどお湯はしょっぱい。
体も温まったところで公園に戻る。ちょっと小腹が空いたので屋台でおでんなどをつまんでみる。
7時をまわる徐々に空も明るくなってくる。気がつくと周りにも人が集まり始めた。ただ、空模様はいまいち。いまいちどころかまるでだめ。明るくなるにつれ、空を雲が覆っているのが見え始めた。苦労してここまできたのにはずれ。空の向こうが赤く染まり――ということもなく、不完全燃焼っぽい。
■左:陸地の手は左手 ■韓国最大の釜(すでに記録更新済み)
困ったことになったのはこのオレである。1時間も寒風吹きすさぶ中で突っ立っていたせいで、体の芯まで冷え切った。手がかじかんで動かないほど。カメラのシャッターも押せない。公園近くには灯台博物館なる見どころ(?)もあるのだけど、開館は午前10時という。いまは7時40分をすぎたところ。とっととバスに乗って帰るほうが得策の気がしてきた。
タクシーで来た時に帰りのバス停の位置は聞いていた。まっすぐ行った大通りにあるという。でもそれらしい大通りは見当たらず。通りかかったおばさんに聞きながらようやく見つける。この街のメインストリートかもしれないが、大通りとは言えないような通りだった。
ここは正式には大甫というところで、こから市内に直行するバスはないので九竜浦というところまで行き乗り換える必要がある。バスの本数は少なく、しかもバス停に時間は書いてないのだが、8時10分のバスがあることはチェック済み。定刻通りにバスが来た。かじかんだ手で苦労して料金を払い、イスに座るとそのまま眠りに落ちた。
■左:のどかな「大通り」 ■九竜浦のバス停にて
15分ほどで九竜浦に到着。のどかな漁港の街という風情。ここで名物料理を食べようかと思っていたのだが、まだ9時前なのでお店もやってなさそう。それより、バスはぜんぜん暖房がついてなくて、オレはまだ手がかじかんだまま。乗り換えのバスを待ってる間も吹きさらしの状態だったわけで、心も体も冷えまくり。もう帰って暖かい布団で眠りたい。
バスで浦項市内までは40分ほど。バスターミナルで降りてからタクシーで浦項駅に向かう。途中で列車とすれ違ったのでいやな予感がしたのだが、駅に到着するとやはり列車は出たばかりで、次の列車まで2時間待たなくてはならないという。いっそバスで帰ろうかと思ったが、そうするとこの企画が成立しないので、列車を待つことにし、観光案内所でめぼしいスポットを教えてもらうことにした。
■左:竹島市場入り口 ■右:市場の中
駅を出てすぐのところにある案内所で教えを請うと、「虎尾串に行け」という。そこは行ってきたばかりと言うと、郊外にある寺に行けと言う。正直、寺に興味はないし、時間もあんまりない。すると「竹島市場に行きなさい」と勧めてくれた。名前がおちゃめだが、韓国東海岸沿いでは最大規模の市場なのだそうだ。市場もあんまい興味ないけれど、他にすることもないのでそこに行く。駅から徒歩10分と近い。
市場自体にとりたててみどころがあるわけではないが、活気にあふれながらものどかな市場という雰囲気でまぁ悪くはない。南大門市場みたいに観光客向けの客引きもいないし、普通の韓国の市場という感じだ。
で、オレの手のかじかみ方がもう尋常じゃない。どこかで暖をとらなければ。ということで近くの食堂に逃げ込む。どこにでもあるのり巻き屋のチェーン店なので名物料理は期待できないが、温かい汁物でも食って体力回復しなけりゃ。あつあつのユッケジャンを食べてどうにかスタミナ回復。しばらく周辺を歩き回ってから駅に戻る。ここから11時20分発のムグンファ号で東大邱まで移動する。疲れがたまっているのか、座るとすぐに睡魔が訪れ、そのまま永川で少し目が覚めた以外はずっと寝ていた。
■左:浦項駅 ■右:駅名標
東大邱には12時48分の到着。ここからソウルまでは高速鉄道で1時間40分ほどで帰れる。が、せっかく東大邱で降りたので市内観光をしておくことにする。東大邱は乗り換えに使ったりするだけでまともに降りたことがないのだ。
駅前の案内所で見どころをきくと、桐華寺がよいと勧められる。大邱市郊外の八公山にあり、バスで40分ほど。八公山にはロープウェーもあり、眺めも良いらしい。大邱出身の知人にも電話でどこかオススメスポットはないかときいてみたが、八公山かしょぼい遊園地くらいしかないという。もともと観光都市ではないので見どころなんてないらしい。
案内所で教えられるままにバスで八公山を目指す。40分ほどで入り口に到着。ここからロープウェーに乗り山頂を目指す。このロープウエーは長さ1.2キロで国内最長のもの。山頂に着いたものの、それほど眺めがいいわけでもない。そういえば浦項ではその姿が見えなかった太陽が、大邱に来たらちゃんと出ている。なんか騙された気分だ。
■左:ロープウェー ■八公山からの眺め
山を下りて入り口から右のほうに進むと桐華寺なるものがある。こちらも取り立てて見るものもなさそうだが、奥のほうに薬師如来大仏があるというので見に行ってみる。高さ33メートルで、中にはミャンマー政府から贈られた舎利が納められているという。まぁこれも「あーそうですか」という感じで、オレはまるで関心なかったりするわけなのだが。
■左:桐華寺鳳棲楼 ■統一薬師如来大仏
寺の中は意外に広く、いい加減疲れてきたので駅に戻ることにする。バスに乗り駅前に向かう途中で地下鉄の駅を見つけたのでそこで下車し、地下鉄で東大邱まで移動する。ここからソウルまではKTXで1時間40分。特室を奮発したものの、疲れがたまってるのでそのまま睡眠。夜行バスで2時間しか眠れなかったことと、寒い中で体力を奪われたのが今回の反省点ではあるが、1年ぶりの国内旅行はそれなりに充実したものだったものと思う。
主な出費 ソウル→浦項(夜行バス) 28,200ウォン浦項→虎尾串(タクシー) 32,500ウォン虎尾串→九竜浦(バス) 1,300ウォン九竜浦→浦項市内(バス) 1,550ウォン浦項→東大邱(ムグンファ号) 5,800ウォン東大邱→桐華山(バス往復) 2,800ウォン東大邱→ソウル(KTX) 48,900ウォン食費など 10,000ウォン合計 131,050ウォン