釜山編 (2004.3.13)

前回、統一号三昧の旅を終えソウル駅に戻って来た。そのまま近くに住む友だちを呼びだして焼き肉を食べに行き、食後のコーヒーまで飲んで家に帰った。シャワーを浴びて旅の疲れをいやしつつ、ふと財布の中を見るとチケットが。ソウル発23時25分光州行き。ということで、統一号三昧の旅は2日目も続くのであった。

統一号の中には長距離を走るものがあり、これこそ鈍行列車の醍醐味と言える。清涼里から釜田を12時間かけて走る1221列車がだんとつで長時間を走る列車だが、以前乗っているのでできれば別の長距離列車に挑戦したい。そうして選んだのが光州から釜山鎮までを8時間かけて走る1556列車というわけだ。
問題は光州発が6時22分ということ。乗るためには前日夜に光州で1泊するか、4時17分に到着する夜行列車を利用するしかない。交通費にプラスして宿泊費まで出すのはもったいないので、夜行列車のチケットを取ったというわけだ。

さて、光州まではムグンファ号で5時間の道のり。リクライニングを倒して帽子を目深にかぶればゆっくりと眠れる。焼き肉を食べながら少々アルコールも入ったし、統一号三昧の旅で少々疲れていることもあり、ソウル出発後すぐに眠りに落ちた。気が付いたらもう光州に到着していた。

光州では2時間ほど時間がある。でも早朝なのでなにもできない。とはいえ、せめて食事くらいはしておかないと、このあと統一号に乗ってしまうと午後2時過ぎまで食べ物にはありつけない。
駅を出てすぐに食堂があったので入ってみる。ほかに客はいない。麗水に行ったときの食堂を思い出した。とりあえずユッケジャンを頼む。しばらくして出てきたのはいいのだが、お盆が汚れているのが気になる。麗水の食堂といい、光州の食堂といい、衛生観念というものにオレとは大きな違いがあるようだ。「少々きたない店の方がうまい」とはよく言うが、それは店の作りがぼろいとかそういうことであって、決して食器が汚いのを推奨しているわけではない。麗水も光州も駅前という好立地にもかかわらず客がいないのはこういう理由なのかも。今後は早朝の駅前食堂に安易に入るのはやめようかと思う。

■左:光州駅 ■右:誰もいない食堂


食事するのには30分もあれば充分で、時間を持て余してしまう。駅前をふらふら歩いてみるものの、例によって市街地から離れたところにあるのか、人もほとんどいない。コンビニがあったので食料を調達して駅に戻る。光州駅もなかなか立派な駅だが、まだ工事中のところも多い。2週間後の高速鉄道開業に間に合うのかどうか不安。いらぬお世話か。駅の待合室は暖房も効いていて、テレビもあるので時間をつぶすにはちょうどいい。ただ、早朝深夜の駅は浮浪者の汚いおっさんの巣になってるのが難だ。

6時になったので窓口で切符を購入する。本来は釜山鎮行きなのだが、高速鉄道の工事の関係でひとつ手前の釜田までの運行となっている。8000ウォンという格安料金で8時間の列車の旅を満喫できるのは安くていいのだが、尻が痛くなりそうだ。
改札を抜け列車に乗り込む。4両編成の列車はほとんど乗客がいない。最後尾の車両に陣取ってみたら、誰もおらず、しばしの貸し切り気分。

■左:出発前のひととき ■右:車内のようす

■松汀里で機関車の付け替え


光州を出発した列車は極楽江を通り松汀里に到着。ここで列車は進行方向が反対になる。10分ほど停車し機関車を付け替えるといよいよ釜田に向け出発。西光州、和順と進むにつれ乗客も増え8割くらいの乗車率になる。順天、河東、晋州、馬山などの主要駅では乗客の乗り降りも激しく、6割程度の乗車率を維持していたが、三浪津をすぎ釜田に近づくにつれ徐々に減っていった。14時17分、無事に釜田に到着。前振りばかり長くて乗車していた部分の記述が少ないのは、そう、寝ていたからである。とはいえ結構がんばっていたんだぜ。というか、そもそもこの旅行記は乗車中の記述は少ないはずである。乗るだけの旅をしないのはこんな理由もあったりして。

釜田駅は2年前に来たときから様変わりしていて、当時の面影はまったくない。ここから地下鉄の駅までは5分ほどなので歩いていく。駅からまっすぐの道は市場になっていて、韓国の庶民の生活風景をかいま見ることができる。地下に降りると地下道は繁華街の西面までつながっているようのなので、そのまま歩いていく。西面は釜山きっての繁華街で、ロッテホテルとロッテデパートもあるのでソウルの明洞のような雰囲気。8時間ものあいだ列車に缶詰めにされていたので、ロッテのトイレでしばし休憩。ほっとしたところで、さてどこに行こうか。釜山には何度か訪れているものの、いずれも何も考えずに来ているので、まともな観光はほとんどしていない。行くところといえばせいぜい釜山タワーと海雲台くらいのもの。釜山タワーは釜山に来るたびに上っているような気がする。ということで、今回も釜山タワーを目指す。
地下鉄に乗り中央洞で降り、タワーに向かう道でマクドナルドを見つけたので休憩を兼ねてハンバーガーで遅めのランチとあいなった。

一息ついたところで再度タワーに向かう。山道をえっちらおっちらと登り、タワーに到着。3000ウォンを払ってエレベーターで展望台へ。ソウルにある南山タワーに比べるとひとまわり小さくて、展望台の規模も小さめ。きょうは天気がいいので見晴らしはなかなかよろしい。釜山タワーには何回も来ているが、天気がよかったことはあまりなかったのでちょっと嬉しかったりして。フェリーターミナルには関釜フェリーが停泊していたので写真を撮ってみる。昔はタワーとか高層ビルからの撮影は禁じられていたのだけど、最近はどこにも撮影禁止の表示はないので安心して撮れる。でもどこかビクビクしながら撮っているのは昔の記憶が甦るからなのだろうね。15年前の韓国は今みたいにあたりかまわず写真を撮ることなどできなかったのだ。

■左:釜山タワー ■右:関釜フェリー


一通り見たのでふもとに降りる。いつも釜山に来てもまともに観光をした覚えがないのはなんでだろう。今回こそ観光するかと思いきや、中央洞のドトールでアイスコーヒーを飲んで休憩。持参の雑誌を読みながら小一時間過ごしてようやく重い腰を上げる。

めざすはチャガルチ市場である。冒頭で友だちと焼き肉を食べているが、このときに話をしていたら、偶然にも友だちも釜山に行くということがわかったので、ならば夕食時に合流しようという話になった。もちろん刺身をたらふく食うためである。市場では1人前なんて売り方はしないので、1人で行くと小さめの魚1種類くらいしか食べられそうにない。ならば大人数でいろんな種類を楽しもうという魂胆だ。

ということで女性3人組と合流し市場へ。知ってるお店があるというのでいそいそと着いていく。刺身センターなるビルの中を探し回った揚げ句にようやく見つけ出し、いけすの中の魚を物色する。選んだのヒラメとタイとイカ。ついでに踊り食い用のタコも買う。生ガキのサービスと若干の割引があって4万5000ウォンなら安いと思う。魚を選んだあとは、上の階にある店で調理してもらう。調理といっても今回は刺身なので切ってもらうだけなんだが。

刺身を待ちつつビールで乾杯。いまいち冷えてないのが難だが、まぁいい。
そこにタコの踊り食いが登場。ごま油にまみれてウネウネと動くタコは吸盤が皿に吸い付いて取りにくくてなかなか面白い。口に含むと中でくっつくのがまた面白い。
お次はイカの登場。そしてタイ、そしてヒラメ。酒もすすみ、いつしかビールから焼酎に。焼酎は地方ごとにメーカーがあって、釜山では「C1」というブランドが有名。ソウルではお目にかかれないので当然これをたのむ。でも焼酎の味ってどれでも一緒な気がする。酔えればいいんだよオレは。
刺身を満喫した後はメウンタンがやってきた。魚の辛いスープね。結局、刺身込みで1人2万ウォンでこれだけ楽しめたことになる。

■左:おさかな ■右:タコの踊り食い


酒も入って盛り上がったところで、近くで2次会に突入。焼き鳥とサワーでゴキゲン。オレは酒を飲むとはしゃぎすぎる傾向があるので、このあたりでかなり壊れてきてたような気もする。
オレは夜10時のセマウル号のチケットを持っているので、宴もたけなわであるが残念ながらそろそろおいとまの時間となってしまった。最後に4人で釜山駅前のテキサス通りを冷やかしに行く。ここはロシア人が多い通りで、治安もあまりよろしくないらしい。確かに、2年くらい前だったか、この通りでロシアマフィアの抗争で銃撃戦があった(外務省の海外安全情報でもアブナイと出ていたぞ)。確かにロシア人が多くて、ロシア語の看板もいっぱいある。深入りするのは危険な気もするが、ちょっと飲み屋で飲むくらいなら問題はなさそうな雰囲気。そのうちロシア語でも覚えたら来てみるか。つーか、ロシア人街ならソウルにもあるんだけどね。

釜山駅前で3人とお別れし、セマウル号に乗車。ソウルには午前3時に着くというステキな列車。チケットを予約するときに、快適に寝られるよう大枚はたいて特室をとってある。刺身を食べたときにハイピッチで焼酎を飲んだおかげで席に着くなりぐっすり(だから焼酎を飲み続けていたのだ)。リクライニングを倒して帽子を目深にかぶれば行きのムグンファ号よりも快適。もしかしていびきまでかいてまわりに迷惑をかけていたかもしれないが、いつもはオレが被害者なのでたまには加害者になってもよかろう。列車は定刻通り……といいたいところだが、17分も遅れて到着した。8時間かけて走る統一号が定刻で走ってるのに深夜に走る看板列車のセマウルがこれだけ遅れるとはいかがなものか。この先乗り継ぎなどはないのでいいんだけど。
自宅に帰って午前3時半。一眠りして出勤というのが悲しいところだが、楽しい思い出となった。

おまけ「惜別・統一号写真館」


主な出費
ソウル→光州(ムグンファ号)
 19,200ウォン
光州→釜田(統一号) 
8,800ウォン
さしみなど(1人あたり)
 20,000ウォン
釜山→ソウル(セマウル号特室)
45,000ウォン
食事など雑費
10,000ウォン
合計
103,000ウォン

「遠くへ行きたい」に戻る

トップページに戻る