
92年、韓国歌謡界の彗星のごとく現れた「お姫さま」。
女の子っぽいちょっと高目の声で歌う清純派アイドルがハ・スビンだ。
鍾路のレコード屋でなんとなく購入したCDを聴いて私は一気に彼女のファンになったのだった……。
ここまで紹介してきた歌手が、日本で放映されたテレビ番組を通じて知ったものであるのに対し、ハ・スビンはレコード屋でなんとなく買ってみたのがきっかけだ。イ・ジヨンのCDを探しに訪れた鍾路3街のレコード屋で、「今週のベスト10」の中に並べられていたのが彼女のCDだった。なにか新しいアイドルでもいないかと、最近の流行をお店のおねえさんに聴いたら「これなんかどう?」と出してくれたのだった(その時、手にはイ・ジヨンのCDを持っていたので、それと同じ系統のものを選んでくれたのだろう)。ジャケット写真はちょっとイマイチな印象だったが、せっかく勧めてくれているのだからと購入したのだ。実際に聴いてみると声がやや甲高いのが耳についたが、何度か聴くうちにその声の魅力にはまってしまった。
92年8月、アルバム「LISA IN LOVE」でデビューした彼女は「童話の世界から出てきたお姫さま」というのがコンセプト。趣味は油絵にピアノ、フルート、ハープなど、まさにお嬢様のイメージそのまま。この頃すでに、日本でもアジアの歌謡についての関心が高まっていたせいもあって、彼女もいくつかの雑誌に紹介されている。とある雑誌のインタビューでは「将来は作詞作曲も手がけるアーティストになりたい」と将来の希望を語っていた。
ファーストアルバム収録の「
」は大ヒットし、ハ・スビン旋風を巻き起こした。同アルバムは彼女のコンセプトそのままにアップテンポの曲あり、しっとりとしたバラードあり、ハ・スビンの魅力をあますところなく伝える名盤といえる。
93年8月発表の第2集はがらりとイメージを変え、大人っぽい雰囲気を前面に押し出した。また、「作詞作曲もしたい」という希望通り、数曲を自ら作詞作曲した。個人的にはファーストアルバムのある意味チープな作りの雰囲気がお気に入りだが、セカンドアルバムはクオリティも高く、ファーストとは一味違う彼女の魅力を引きだした逸品といえる。
セカンド発売後、94年5月にはSBSのドラマ「
」で同名の挿入歌をソン・ウミンと歌ったほか、95年には「
」という曲でテレビの歌謡番組に出演したのを最後にファンの前から姿を消している。
韓国でハ・スビンと言えば、ある「疑惑」が有名だ。
なんと、彼女の正体は「女装した男性」だというのだ。けっこう根強い噂らしく、今でもテレビでお笑いネタにされている。「元祖ハリス」などとも言われているが、ハリスは完全に性転換しているわけだし、そもそもハ・スビンは女性である。「元祖」とかそういう問題ではない。
いまだにネタにされているというのも根強いファンがいる証しなのだろうか。いまでも彼女の復帰を待ち望むファンによるサイトがいくつか開設されている。それらのサイトでは過去に「2001年5月に新アルバムで復帰する」との情報も流れたりもした。最近でも新作準備中とのうわさがある。本当のことなのか、ファンの夢が独り歩きしたものなのかははっきりしない。73年5月生まれの彼女が復帰したとしても、30歳ではアイドルというわけにもいくまい。
お姫さまだけに、「童話の世界」で楽しくすごしてもらいたい。