タイトル1

日本でアイドルグループ「少年隊」が人気だったころ、アジア各国でも「少年隊」を意識したグループが登場していた。台湾の小虎隊、韓国の消防車、香港やタイでも男性グループが人気を呼んだという。 「少年隊」の反対ともいえるのが「少女隊」だ。実は韓国でも「少女隊」にあやかった女性グループがいた。 いまでこそ珍しくない女性グループだが、当時としては斬新なものであったともいえる。韓国女性グループの創成期を支えたグループ、それが「セトレ」だ――。



タイトル2

たまたまその時みていた「SEOUL SOUL」は、ポップミュージックの特集だった。次から次へと当時の流行曲が流れ、韓国音楽に関する知識がほとんどなかった当時の私はそれを録画して後生大事に保存している。 何曲目かにそれぞれ赤、青、黄のパジャマのような衣装で登場したのが「セトレ」だった。 歌唱力重視の歌謡界に突如として現れたアイドルグループ。だがしかし、彼女ら3人がとびぬけて可愛かったという記憶はない。どこにでもいるような女の子にしかみえなかった(それがコンセプトだったのかもしれないが)。
デビュー曲は「」で88年の作品。アルバムは2枚を発表しているが、CD化はされていない。1集ではマドンナの「Like a virgin」のカバーバージョン「(=淑女のように)」も収録されている。全体的に明るい曲が多く、韓国歌謡といえば「釜山港へ帰れ」とか「カスマプゲ」みたいな演歌、そこまでいかなくてもイ・ジヨンのようなしっとり系の歌しか知らない身には結構新鮮だったかもしれない。残念ながら私は当時のそういう状況をしらなかったので、彼女らの存在感がどれほどだったのかはまったくわからない。ただ、今でも「セトレ」の名を覚えている人はあまりおらず、イ・ジヨンほどの人気を得たグループではなかったようだ。いずれにしても、ソウルオリンピックを目前に控えた時期で、社会のあらゆる面で変化が起きていたという状況を考えれば、彼女らもまた「出るべくして出た」アイドルと言えよう。
翌年に発表された2集ではイメージを変え、大人っぽいバラードなども含めた作品となった。アルバム自体の完成度は2集のほうが高いが、反響はさほど大きくなかった。しかし、彼女らの業績は韓国に「女性アイドルグループ」を根づかせたことである。そこそこの人気を得たのであるから、成功した部類だったと考えて差し支えないだろう。



タイトル3

実はセトレのことを書くにあたりいろいろと調べてみたのだが、さすがにインターネット上でも得られる情報は極めて少なかった。故に、3人の名前がわからないという事態に陥ってしまった。結局判明したのは2人だけ。
ひとりはウ・ユナ。CMモデルとして活躍したのちにセトレとしてデビューした。現在は歌手イ・ジョンチョルとともに南楊州市でカフェを経営している。弟はイ・ビョンホン(映画「JSA」で主演)のマネージャーを務めたこともあり、芸能界につながりの多い家庭だ。コンサート舞台を備えたカフェには芸能人も多く訪れるという。
もうひとりはイ・カイ。実は今人気の女性5人組BABY VOXのリーダーとして活躍していた。97年にデビューしたBABY VOXのメンバーはほとんどが10代。リーダーを務めるイ・カイは当時28歳。ただ、問題は年齢を10歳もサバを読んだことで、後に年齢詐称が発覚するとファンから「ずうずうしいにもほどがある」と非難の声が上がった。結局は謝罪文を発表し、新メンバーと交代することで騒動は幕を下ろしたが、その後の消息は不明だ。
セトレのデビューから9年、彼女が何を思ってBABY VOXで活動したのかは知る由もない。「栄光よもう一度」という気分だったのだろうか。とんだミソをつけてしまったが、彼女が「女性グループのはしり」であることは事実である。
残るひとりは残念ながら名前がわからぬままとなってしまった。 いかんせん10年以上も前の歌手。巷にあふれる音楽関連サイトでも音源を見つけることは簡単だったが、メンバーのプロフィールまでは探しだすことはできなかった。 以前日本の雑誌にセトレが出たことがあったのだが、どうして保存しておかなかったのかと悔やまれてならない。



タイトル4

「韓国版少女隊」の話しをしたついでに、本家「少女隊」と韓国との因縁についても書いておこう。 ソウルオリンピックのイメージソング「KOREA」を歌ったのが少女隊だった。原曲はアメリカ人が歌っており、少女隊が歌ったのは日本語版と英語版のカバーバージョン。韓国でも韓国語カバーバージョンがあり、女性歌手が歌っていた。 オリンピックに関連してソウルで開かれたイベントに少女隊が出席し、この曲を日本語で歌ったのだが、これが戦後初めて韓国で公式に歌われた日本語の歌と言われている。なお、この曲は「SEOUL SOUL」のエンディングにも使われていた。 なお、海賊版が横行する韓国ではあるが、少女隊のカセットはソウル音盤から正式に発売された。ただし日本語曲が禁止されている関係上、内容はすべて英語の曲となっている。