終焉を迎える旌善線を行く
(2004.9.17)

甑山と九切里を結ぶ旌善線というローカル線がある。1日3本しかない路線で、度重なる水害で旌善から九切里までが運休していたが、数年ぶりに今年2月に復旧したばかり。ところが今度は9月21日限りで末端のアウラジ―九切里間が廃止されるという。旌善線自体は2月の復旧直後に訪れており、印象深い路線ではあったが、特に再訪する考えもなかった。しかし廃止されるとなると最後の思い出に乗っておきたくなるというのが人情というもの。早速チケットを手配した。

前回は夜行列車で東海や太白などをまわってから甑山まで来たが、今回はおとなしく清涼里発10時のムグンファ号で直行する。13時52分に到着し、8分の接続で旌善線に乗れるはずである。
さて当日。ムグンファ号は快調に走っていくが、甑山到着が12分の遅れ。本来なら旌善線は4分前に出発しているはずであるが、さすがに1日3本のローカル線が幹線からの乗り継ぎ客をほっておくわけがない。隣のホームでこちらの到着を待っていた。清涼里からの列車の出発を待って旌善線も10分遅れでようやく出発。線内では列車交換もないので少しぐらいの後れはなんら問題ない。

沿線の中心地となる旌善では、5日ごとに市が立ち、これが観光資源となっている。市の立つ日は清涼里からの直通列車も運行されるほど。ちなみに2と7の日がその日で、きょうもその日にあたる。故に通常は観光用に改造された客車1両で運行するが、きょうはムグンファ号用の客車が1両追加されている。

九切里駅にて サボ


前回来た時はまだ冬で、車窓風景も寒々しい感じだったが、今回は緑あふれる風景が広がり、のどかな雰囲気。車内で切符を買ったりしているうちに列車は2つ目の仙坪駅に到着。ここで昨日から泊まりがけで旌善線の撮影をしているという知人2人と合流。1日3本しか走らないので朝の列車を撮った後は6時間近く待たなくてはいけないなど、沿線での撮影も長期戦だそうだ。

旌善に到着するとホームにはかなりの人だかり。市に訪れた観光客らしい。この列車は観光用に改造された客車で旌善線の名物となっているためか、観光コースに組み込まれているようだ。後ろには通常の客車もつなげているが、多くの客が観光用客車に乗り込んでくる。

列車は羅田、アウラジと進み、廃止される末端区間に足を踏み入れる。終端部分はトンネルあり、橋ありと車窓も変化に富む。ここは列車の廃止後にレールバイクなるものが導入されるらしい。観光開発の一環らしいが、それでどれだけ客を呼び込めるのかは怪しいもの。周辺一帯の開発も合わせて行うということだが、九切里はなにもないところ。せいぜいアウラジのあたりに観光開発の余地がありそうだが、どうなることやら。

終点の九切里についた。前回は折り返しまで15分しかなかったが、その後のダイヤ改正で折り返しまでは35分の余裕がある。機関車の付け替え風景や、駅構内などを撮影しながら時間をつぶす。ほとんどの客がこのまま折り返しの列車に乗るようで、みんな思い思いに写真を撮ったりしながら過ごしている。観光客の一団は待機していた観光バスに乗り込み帰っていったので帰りの列車は少し空いているようだ。

機関車を付け替え 駅名標
機回し線を引き上げる機関車 客車と連結


さて、このオレであるが、折り返しの列車で甑山まで行き、そこから清涼里に向かう予定でチケットも購入してある。撮影に来た知人らはアウラジで降りて最終列車を狙うという。ちょっとそれにつき合いたいとの考えも頭をよぎったが、その日の夜にソウルで約束があるのでどうしても帰らないと行けない。すると知人から「アウラジから午後5時のバスに乗れば9時にはソウルに着く」と代案が提示される。まぁ確かに、列車に乗るだけで終わってしまうのはもったいないし、アウラジなんて駅には2度と行くこともないだろう。問題は買ってしまったチケットで、九切里もアウラジも無人駅なので払い戻しができない。運賃は1万ウォンなのでそれほど惜しい金額ではないのだが、どうしたものか。

アウラジ駅駅名標 アウラジ駅全景

■九切里〜アウラジの車窓風景


悩んでいるうちにアウラジに着いてしまったので意を決してそのまま降りることにした。
アウラジの駅も九切里駅と同様の簡素な造りの無人駅。駅前から少し進むとメインストリートに出る。ここには商店や金融機関があり、それなりに開けてはいる。でも少し歩けばすぐ田園風景が広がるのどかなところ。我々一行は駅とは反対側に向かって進む。線路を渡って少し行くと川がある。渡し舟があったので乗ってみようということになる。この船は動力が着いてない。川の対岸を結ぶワイヤーがあって、船頭がそのワイヤーをたぐって船を動かす仕組みになっている。束草で乗ったケッペみたいなものか。船頭は我々がソウルから来たことを知るとひとしきりアウラジの地名の由来やらいろいろと案内をしてくれた。ほとんど覚えてないけど。対岸に着いたところで見るものもなく、そのまま折り返す。向こうのほうに祠と銅像が見えるのであっちに行けないかときくと、前は橋があったので行けたが、台風で流されたので今は行けないとのこと。

ワイヤーをたぐる船頭 川の向こうの祠


それでもいい時間潰しになった。5時のバスに乗るためにバス乗り場に向かう。ソウルまでのチケットは2万7500ウォン。ひやっ。列車の3倍近いじゃん。とほほだ。江陵からやってきたバスに乗り込み知人らと別れる。彼らによると4時間もあれば着くらしい。
ところがこのバス、途中で小さな町に立ち寄りながら進み、高速道路に入ってからも何回も休憩を取る。しかもその休憩場所がどこなのかさっぱりわからない。進めど進めど江原道で、なんだか心細くなってきた。
結局東ソウルバスターミナルに着いたのは10時前。おとなしく列車で帰ったほうが良かったのかどうかは判断の別れるところ。これにて九切里訪問記おわり。


以下、九切里とアウラジの風景など

九切里駅前の様子。左端が駅舎。
九切里駅よりアウラジ方を望む。04年2月
 
同左。04年9月
九切里駅
 
出発を待つ列車
アウラジ駅より九切里方を望む
 
アウラジ駅ホーム全景
アウラジ駅前。奥がアウラジ駅 アウラジ駅北側の踏切から九切里方を望む


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