iBookを買いに福岡に行く
(2004.7.2)

いいかげん我が愛機もガタが来ていて、そろそろ買い替えないといけないのかと検討していたのだが、マック信者のオレとしては次に導入する新機もマックでないといけない。ところがマックは韓国では日本ほど一般的ではない。一般的どころか異端である。日本で買うよりも高いのである。オレが購入を検討していたのは、これまでつかっていたiBookの後継機だ。オレが使っているiBookはクラムシェル型だが、それを買ってから半年でフルモデルチェンジしてしまい地団駄を踏んだ経験がある。その新型機もリリースされて3年が経つので、そろそろ次のモデルもでそうな気がするのだが、そんなことを言っても我がクラムシェルは一度オーバーホールしないことにはどうしようもない状況だ。スペックもすでに古く、新たに導入したOSでは動きが鈍いという状況でもある。買ってから4年近くが過ぎるわけで、遅かれ早かれ新機を導入せざるを得ない状況でもある。
ただ、韓国ではマックが高いのである。オレが購入を検討しているiBookの後継機は韓国で17万5000ウォン。ところが日本で買えば15万円。25000円の差があるというわけだ。2万5000円もあれば、福岡まで行けるくらいだ。ならばiBookを買いに行くために福岡まで行っても悪くはないのではなかろうか

釜山と博多を結ぶジェットフォイル「ビートル」というのがある。何気なく韓国側の運航会社のサイトを見ていたら、「ホテルプラン」として、往復のチケットと博多でのホテル1泊で19万ウォンという格安の商品が出ていた。ソウルから釜山の往復は自分で手配しなければならず、それを考えると25万ウォンを超えてしまいかねないが、それでもiBookを買い、ついでに日本のうまいものでも食えるという付加価値もあるし、旅行気分も味わえる。日本で買えばポイントカードも使えるので実質的に値段はもっと下がる。ならば交通費を使って福岡まで行っても充分にもとはとれるのではなかろうか。牛丼を食べにシンガポールに行くようなオレである。iBookを買いに福岡に行くなんてわけないことだ。

とりあえずその19万ウォンのコースについて問い合わせるつもりが、しっかりと予約までしてしまった。日程は金曜出発、土曜帰国という1泊2日。ちょっと慌ただしい気もするが、ビートルは多い日には1日5往復もある。所要時間はわずか3時間なので、釜山を朝イチ(8時半)に乗れば昼前には博多に到着してしまうのだ。博多出発は最終の15時に乗るとすれば、これはけっこうゆったり滞在できそうだぞ。そもそも主目的はiBookの購入なわけで、少々慌ただしいとしても行く価値はある。なんてったってホテル代込みで19万ウォンというのはお値打ちだ。ビートルの日本発往復は2万4000円もするわけで、韓国発のメリットをいかしてちょいとでかけてみようじゃないの。

朝8時半の便に乗るには釜山港国際ターミナルに出港の1時間前までにいかなくてはいけない。ソウル発の高速鉄道の始発は5時半だが、これでも釜山到着は8時半になってしまうので、前日のうちに釜山入りしないといけない。選択肢としては夜行列車がある。ムグンファとセマウルがあるが、セマウルには特室がある。夜行列車でしっかりと睡眠をとるにはゆったりとしたシートのセマウル特室が最適だ。ということで特室のチケットも予約し、木曜日に仕事が終わると家に帰って準備を済ませ23時発のセマウル号に乗り込んだ。帽子を目深にかぶって安眠体制に入れば翌朝4時過ぎに釜山に到着する。

釜山国際旅客ターミナル 朝早すぎて誰もいない……。 これがウワサのジェットフォイルだ。


そんな早朝につかれてもすることもない。船は8時30分出発。1時間前までに手続きをしろということは7時半までにチェックインする必要がある。その1時間前には釜山港のターミナルもオープンすると考えれば6時半には釜山港に入れるだろう。まだ2時間ほど時間がある。
とりあえずメシでも食うかと駅前の通りを歩くと、なんか客引きがまとわりついてうるさい。テキトーに相手しつつ24時間営業のメシ屋に入り朝食。しかしどんなにゆっくり食べても1時間もかからない。30分ほどで外に出るとまだ5時半にもなってない。地下鉄も動いてない時間なので港に移動することもできず、しばし釜山駅の中でベンチに座って休憩。6時前に地下鉄で港に向かう。釜山港国際旅客ターミナルは釜山駅から2つ目の中央洞駅で降りて徒歩10分。6時過ぎにターミナルに着くと、電気はついているが人の気配はまるでしない。カウンターも閉まっているし、待っている客もいない。カウンターには「チェックインは7時10分から」の張り紙。1時間近くここで待ってないといけないらしい。しかたないので缶コーヒーを飲みながら持参の本を読んで時間潰し。7時前になるとだんだん人が集まってくる。
無事にチェックインを終え。ホテルのバウチャーを受け取ると2階でしばらく待機。その後出国審査を経て搭乗ロビーに。一連の流れは航空機利用に比べ非常に簡素というか、同じ手続きにしても人がそれほど多くないのでスムーズに進む。「出国審査の長い列にイライラ」ということもなく、快適である。
搭乗ロビーにはささやかながら免税店もあり、冷やかしているうちに搭乗時間となり船内へ。

キャビンは2階建てで、チェックインのときに1階席を選んでおいた。指定された席は窓側で、同じ列には誰もこなかったので快適であった。船はJR九州が運営しているので、船内においてある雑誌などは日本のものが多い。船内の免税店に行けば日本のビールが免税価格の150円で販売されている。もっとも朝からビールを飲む気はないので帰りの便までお預けだが。
8時30分。すべるように出港する。港内は船の往来も多くスピードは出せないが、外洋にでると船は一気に加速し時速85キロという高速で疾走する。船自体は海面から浮き上がり、3本の足で水面を滑空するように走る。心配していた船の揺れは、高速走行に入るとまったく感じないくらい極めて快適。飛行機だと離着陸時に、安全ベルトを締めろ、リクライニングは倒すな、テーブルはもとに戻せ、席を立つなとうるさいが、ビートルはまったくそんなことは関係なく(もちろん安全ベルトは締めておけと言われるが、わざわざチェックはしない)、好き勝手にくつろいでいればいいというのもポイント。離着陸時の耳ツン現象もないし、非常に快適だ。

快適な海の旅は3時間に満たず終了。11時過ぎに福岡の町が見えてくる。福岡ドームやタワーなどが見えたときはなかなかきれいで感慨深いものがあった。海からしか見えない眺めというのもいいものだ。博多港も船の往来が多いため走行速度はゆっくりめ。定刻よりやや早く11時15分に着岸した。

船を降りると入国審査。3つのブースのうち1つが日本人用。そういえば客のほとんどが韓国人だった。入国審査を1番に通り抜け、税関審査はなし。外に出るまでわずか5分もかからなかったのではないだろうか。博多港の国際ターミナルからはタクシーで博多駅前に移動。15分、1500円ほど。

指定されたホテルは博多駅筑紫口から徒歩1分。実際には3分ほどだが、立地としては非常によい。さっそくチェックインするが、チェックインタイムは午後2時からだって。早くても1時にならないと部屋が準備できないというので、また夜に出直すとする。そもそもまだ正午前なわけで、こんな時間にチェックインするほうが非常識ではある。

荷物はどうせ小さなリュックが1個あるだけなので身軽だ。まずは駅前のヨドバシカメラで目的のブツを下見しておく。目指すiBookちゃんは白くてお肌がスベスベの博多美人。じゃなかった。アメリカ産だから白人か。まぁどうでもいい。陳列されたiBookちゃんをもてあそびながら、いよいよこれがオレのものになるのだなぁと感慨も新たにしたところで博多駅に戻り、ここから新幹線で小倉に向かう。

思い起こせば5年前。韓国に赴任する直前までオレは小倉に住んでいたのだ。仕事の都合で1年近くを小倉で過ごしたのだが、なんの縁もゆかりもない土地で、我が人生の中では「不遇の小倉時代」として記憶されている。それでも思い返してみれば、会社の人たちとは仲良く和気あいあいでよく仕事帰りに飲みに行ったり、それなりに楽しく過ごしていた。韓国赴任が決まって小倉ともおさらばすることになったが、オレの人生で小倉には二度と来ることもないだろうと思っていた。今回博多まで来たわけで、新幹線で20分の小倉を5年ぶりに訪ねることにした。それほど楽しい思い出があるわけではないのだけど、我が人生においてはいろいろなルーツがこの地にあるのもまた事実なのである。近くまで来たからにはよっていくのが義理というものであろう。

新幹線は頻繁運転なので待たずに乗れる。たまたま来たのは最新鋭の「500系のぞみ」。韓国の高速鉄道と比較しようと思ったが、そういう意地の悪いことはしないでおこう。でもひとこと言っておこう。やっぱ新幹線すごいわ。博多から小倉まで20分。その間になんと時速300キロでの走行も楽しめる。いろんな意味で、新幹線ってすてきだわ。

新幹線。5年ぶりに乗った。 小倉駅。モノレールがあります。 アーケードの商店街


小倉に着いたのはまだ昼前。商店街を抜けたところにあるカレー屋でカツカレー大盛りを食べ、駅周辺をうろうろする。ついでに以前勤めていた会社にも顔を出しておいた。この会社はオレがいま勤めている会社のライバル会社に当たるわけだが、ここでの経験があったからこそいまの会社にも入れたわけだし、この会社がマックを使っていたからいまでもオレはマックユーザーなわけである。そもそもこの会社がオレみたいななんの経験もない若造を韓国に送り出してくれたからこそ、ソウルで生活できるようになったのである。いろんな意味で、オレにとってルーツとなる会社なのだ。
アポイントもとらずに行ったが、幸いにもいろいろと世話になった所長がいた。お互いの近況や小倉時代の思い出話などしながら小一時間ほど過ごし辞す。

会社を出てあとは昔住んでいた家の付近などを散策する。当時ダイエーがあったところにはリバーウォーク北九州なるショッピングモールができていて度肝を抜かれる。あの当時、こんなものができるとは夢にも思わなかった。家の最寄り駅だった西小倉駅も建て替えられ、小倉駅前のそごうは伊勢丹に変わった。5年という月日の長さを実感する。
「小倉・聖地巡礼の旅」はこちら。

最後に吉野家で(これも当時はなかった)豚丼を食べ、モノレールに乗ったりして過ごす。またしばらくは小倉に来ることもなさそうだ。しっかりと記憶を焼き付け、博多に向かう新幹線に乗る。今回は「ひかりレールスター」という車両。こちらも最新鋭の列車で、KTXとの比較は……やめておこう。

博多についてヨドバシカメラに行こうと思ったのだが、現金を持ってきていないので銀行に行かなければならない。日本ではシティバンクに口座を作ってあるのだが、博多にも支店があるというのでそこにいくことにする。さっきホテルでシティバンクはどこか尋ねたら、「すぐ隣にあります」と言われたのだが、それは「福岡シティ銀行」であって、断じてシティバンクではない。「それではなくてアメリカの銀行です」というと電話帳を調べはじめ、やっと探しだしたのであるが、ついでに駅前の交番でも聞いてみたら、やっぱり「すぐそこにあるよ」と福岡シティ銀行を教えてくれた。福岡ではシティバンクの知名度はまだまだです。

しかし、日本で口座を開設しているので、なにも支店に行かなくても他の銀行のATMが使えるわな。とりあえず近くの銀行で金を引き出しヨドバシカメラに直行。スベスベ博多美人のiBookちゃんの本体と増設メモリーを購入した。ほんとはワイヤレスが使えるよう周辺機器をそろようとも思っていたのだが、肝心の商品が7月中旬にならないと入荷しないとのことなので、それはまたのちほど韓国で購入することにした。

重い箱をぶら下げホテルに帰還。部屋はシングルルームなのでやや狭いが、寝るだけなので充分。とりあえず買ってきたばかりのiBookちゃんを箱から取り出しほおずりしながらいじりまわす。部屋ではネットが使えないのでなにもできないのが悔しいが、家から日本語入力ソフトのCDは持ってきているので、インストールして旅行記を書き始めることにした。

夜も9時を過ぎたのでメシでも食いたいところ。博多から天神に移動し、あてもなくさまよう。何を食べるか迷ったが、博多に来たらとんこつラーメン、それも名店「一蘭」に行かないわけにはいかない。小倉時代は小倉店に通っていたが、博多に来て食べるのは初めてなので店がどこかわからない。近くの交番で場所を訪ねると親切に教えてくれた。わかりにくい場所だがどうにか見つけ出した。3月に日本に帰ったときに上野駅にある一蘭で食べているので3ヶ月ぶりの対面。超こってり、ニンニク1個投入をチョイスし、ついでに替え玉も楽しんだ。やっぱこの味ですわ。

あとはそのままホテルに戻り、ビールと酎ハイを飲みながらテレビ鑑賞。日本のテレビはおもしろいわ。日本では親元に帰ってもあてがわれるのはテレビのない部屋だし、テレビのある部屋では親が寝ているので深夜テレビは見られないので、ひさびさに思う存分に深夜テレビを満喫した。はずなのだが、疲れてしまったのかあっという間に眠りに落ちてしまった。

目が覚めたら9時ですよ、奥さん。チェックアウトは10時。なんかあわただしく荷物をまとめ、ホテルを出る。背負ったリュックにはiBookちゃんが入っているのだが、思いのほか重さは気にならない。愛いヤツめ。

天神に向かう。今回の目的はiBookちゃんを買うことだけなのですでに目標は達成してしまった。あとは午後3時半のビートルに乗るまでフリータイムだ。とりあえず日本に来たからには食欲を満たしておきたい。開店直後の回転寿司屋に行き、皿の色を気にせず存分に食べる。好きなものだけ食べてるのにどうしても安い皿ばかりになってしまうのはどういうことか。12皿で2600円。ひさびさに寿司を満喫してご満悦じゃ。

中途半端に時間があまったので西鉄電車に乗って時間をつぶす。なんとなく乗ってみたかったのよ。
博多駅のコインロッカーに荷物を預けているので再度博多駅に向かい、またもヨドバシカメラに寄り道してiBookちゃん用のケースを買う。リュックが膨れてきたのでいろいろ買い物するうちに紙の手提げバッグを持っていたのだが、iBookをケースに入れ紙袋の中身をリュックに移したほうがスマートだ。

西鉄特急 こちらは普通 博多駅前にばってん荒川出現。

そんなこんなで2時20分を回った。タクシーで博多港国際ターミナルに向かう。道が空いていたので10分、1000円ですんだ。チェックインを済ませて荷物整理をしていたら出国手続き開始のアナウンス。搭乗ロビーにつくとそこには免税店もある。しかもビールも免税で販売している。150円なりのビールを飲みみやげの「ひよ子」を購入した。帰りの船は2階席をとっておいたが、1階席となんらかわるものではない。

3時半に博多を出て3時間。6時過ぎに釜山港に到着した。入国審査を税関をあっという間に通り抜け、タクシーで釜山駅に着いたのが6時40分。7時発のKTX、しかも特室を奮発した。列車に乗り込みさっそくiBookちゃんを取り出し、旅行記などを書いてみる。ソウル到着は10時前。台風が接近中とのことで、雨が降っていた。どうもこの台風、ビートルのあとを追うようにやってきたらしい。釜山につくまで台風の気配などまるで感じなかったが、韓国南部地方はけっこうな被害がでたようだ。

まぁそんなわけで、iBookちゃんをゲットしてご満悦のオレなのでした。長年使ってきたクラムシェルはどうするかというと、OS9では充分に現役なのでOS9専用機としてもう少し働いてもらうことにします。



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